about – 飛松灯器
コンセプト
飛松灯器のものづくり
プロフィール
コンセプト
飛松灯器のものづくり
プロフィール
蝋燭の炎のようでいて、それよりも柔らかな日没の夕日のような灯り。

昼と夜を繋げる美しく短い時間、スイッチひとつで暗闇を克服した人類は、いつしか夕方そのものを忘れてしまうのではないだろうか。

人がふたたび夕日を灯すことで、緩やかに夜をとりもどし、いつしか夜景の色も温かな景色へと生まれ変わるかもしれない。

そんな情景を思い浮かべながら、ひとつひとつの照明を作り出しています。
process
飛松灯器は、磁器による鋳込みという手法で作られています。

鋳込みとは、型を作り、そこに流し込んで固める製造方法で、一般的には金属の砂型鋳造や、ガラス製品における石膏型の隙間への流し込み製法があります。

磁器の場合はそれらに近い製法のほかに、石膏型の外型のみを使う特殊な「排泥(はいでい)鋳込み/ガバ鋳込み」という作り方があり、飛松灯器の多くは排泥鋳込みにて作られています。

まずシェードの元になる原型(石膏の塊)を手で作り、その周りを石膏で型取りして組型を作るところから始まります。
型を乾燥させたらその中空内部に泥漿(でいしょう)を流し込んでいきます。

※泥漿とは磁土粉末と水を混ぜた液状粘土のこと。

この時に泥漿内の水分を石膏が吸いはじめます。逆に磁土の粒子は濾されるように石膏の内壁に留まって層を形成していきます。

数分後に泥漿を外に排泥すると、型の内部に積層された粒子が皮膜のように内壁に残っています。

そのまましばらく放置すると積層皮膜が乾燥し収縮が始まり、石膏型から抜くことができます。

泥漿の水分量や型の乾燥具合、大気湿度、原型の大きさやフォルムによって鋳込み時間を調整する必要があります。
乾燥したら手作業で磁土の表面を整えます。

この時、型と型の境界線にできる線(バリ)は敢えて残しています。

このバリは型作り特有の要素で、ロクロで作った器に残る指の跡(ロクロ目)と同じように捉えています。

ソケットの装着口もこの時に穴を3箇所開けておきます。また型から取り出された形は全てCloseタイプで、焼く前の段階で底をくり抜いてOpenタイプに加工します。

窯詰めでは品種によって上下どちらを上にして焼くかそれぞれ異なってきます。

窯の中でフォルムに合わせた専用土台に設置するものもあり、高温焼成中に磁土が柔らかくなるとき、その土台の型のかたちに合うように工夫することも必要になります。

焼成して2日後に窯出しをします。

ひとつずつ取り出しながら、すぐに光を入れてヒビや亀裂がないか、大きな歪みがないかを確認します。

また液状粘土で作っていることもあり、小さな気泡は多少混入しますが、あまりにも大きな気泡が入ってしまった場合はこの検品で弾いています。

品種によって異なりますが、現在の成功率はおおよそ70〜80%になります。
profile
飛松弘隆 / 磁器照明作家
1980年生まれ。
佐賀県出身、東京都在住。

磁器の鋳込み成形を軸として、灯・食・花のための器を制作発表する。

多摩美術大学工芸科陶プログラムを卒業
陶芸家樋口健彦氏 助手(2004 - 2006)
陶芸家小川待子氏 助手(2005 - 2007)
いけばな草月流 陶芸本部講師(2022 - 2024)

石膏型による立体造形作品の制作経験を活かし、2004年鋳込み技法の習得や型作りの研究を開始。
2014年の初個展で磁器製のランプシェードを発表、磁器照明作家として本格的に始動する。

大正~昭和初期まで多くの公私の場で灯されていたミルクガラス製の電灯笠に着想を得る。
蛍光灯の発明と普及により現在では衰退してしまったミルクガラスシェードを磁器という素材に置き換え継承・発展さていくことを決意する。


合同会社テノイワークス
代表社員 飛松弘隆

インボイス登録番号:T9010603008711